大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京高等裁判所 昭和44年(行ケ)88号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 原告は、本願商標は一連不可分にのみ呼称されるべきものであり、本願商標から「フロンテイア」の称呼が生ずるとした点において、本件審決は認定判断を誤つたものである旨主張するが、右主張は理由がないものといわざるをえない。すなわち、本願商標が「タジマ」、「フロンティア」及び「18―8」の三つの語を一連に書き並べたものであることは、その構成に照らし明らかなところ、冒頭の「タジマ」の部分が原告の商号の一部「田島」を仮名書きしたものであり、末尾の「18―8」の数字の部分が不銹鋼の品質を表示する記号または符号であることは、いずれも原告の認めて争わないところである。そして、右「田島」が一般にありふれた氏姓で、商標中に自己の氏姓を仮名書きして用いることが通常行なわれていることは、周知の事実であるから、本願商標中「タジマ」の部分は、それのみでは商品の出所識別機能を有しないことが明らかであり、また、「18―8」の部分も、不銹鋼の品質を表示する記号または符号とみることができるものである以上、本願商標の指定商品「第七類、ステンレス・スチールを主とする建築または構築専用材料」との関係においては、商品の品質表示的部分にすぎず、やはり出所識別機能を営みえないものというほかはない。したがつて、本願商標において、商品の出所識別機能を有する構成部分は、「フロンティア」の文字部分であるとみるほかなく、したがつてまた、本願商標からは、一連に「タジマフロンティア18―8」の称呼を生ずるとともに、これが比較的冗長であることと相まつて、右「フロンティア」の文字部分から「フロンティア」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。原告は、本願商標を選択採用するについての原告の着想を根拠に、原告が本願商標を常に一連に使用し、一般取引者需要者間においても、常に一連不可分に使用され、称呼されて来たものであるから、単に「フロンティア」の部分のみでは、称呼上現実に通用しない旨主張するが、商標の称呼は、これを採択した者の主観によつて定められるべきものではなく、一般取引社会の通念に従つて客観的に定めるべきものであるから、原告の主観的使用態様を根拠として本願商標の称呼を定めることは相当でなく、また、本願商標が一般取引者、需要者間において一連不可分にのみ使用されて来て「フロンティア」のみでは称呼上現実に通用しないと認めるに足る証拠はなく、他に、本願商標をもつて、常に一連の語として不可分の関係にあるものとみるべき必然性があることを肯認すべき証拠資料もない、といわざるをえない。

そして、引用商標から「フロンティア」の称呼を生ずべきことはその構成に徴し明らかなところであるから、本願商標と引用商標とは、称呼上類似の商標というべく、この点に関する本件審決の認定判断に原告主張のような違法はない、といわざるをえない。

(むすび)

三 以上のとおりであるから、その主張のような違法のあることを理由に、本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというべく、よつてこれを棄却する。(三宅正雄 石沢健 奈良次郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!